夢に見るは君。君がちらついて今もしかたない〜志摩子の夢〜
近頃、お姉様の夢を見る。
理由ははっきりしている、卒業が近いせいだ。
頭の中にさっきの夢が蘇る。
志摩子は手を繋いでいる。
顔ははっきりと見えない。
でも志摩子は、この手がお姉様の手だと認識している。
そしてその手がゆっくりと、志摩子の手から離れていく。
離したくないのに、追うことができない。
そちらにだけは動けない。
ただ前へとのびている道を、進む事しかできない。
できないことばかりだ。
志摩子の手にはロザリオだけが残されていた。
首にかけると、お姉様と出会った頃のような桜が現れた。
泣きそうになる。
風に吹かれて、桜は散る。
無情に時が過ぎ行くように、桜もまた留まることなく降っている。
そして…泣け、と言わんばかりに雨が降り始める。
お姉様のロザリオも泣いているように見えた。
そこで目が覚める。
夢にはマリア様も現れてはくれない。
あの雨がやむ日は来るのだろうか。
…それはまだ見ぬ夢の続き、今はただお姉様と……。
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