Interview with  山百合会〜 白薔薇さんちと一緒 編〜

 

 

 

みなさん、ごきげんよう。日々如何お過ごしですか?福沢祐巳です。

今日はついに、ついにあの日がやってきてしまいました。

あの日って何?そう思われた方はここへ来るのは15分早いですね。

ブラウザバックで予告編を見ましょう。坂本管理人いわく「あれがいちばんがん

ばってる」そうですから。そしてできることなら「あなたはそのまま帰ってこな

くてもいいの!私はずっと待ってるから……!」などとつぶやいておりました。

追い詰められたSS書きの末路ですね。そして私が追い詰められた紅薔薇のつぼみ

の妹。もはや追い詰められた企画であることはぬぐいようもありません。

 

そろそろ読む気も失せてきませんか?そうですか。

 

この現状を口でお伝えするのは大変憚られるのですが、こんなに何故ひとり考え

込んでいるかをお教えしましょう。それはただ廊下を歩いているだけなのに突き

刺さる視線のせいなのです。まさに針のムシロ!どんどん自分が小さくなってい

くような錯覚を覚えます。一歩一歩の歩幅がやけに狭いです。気分的には

 

「あんた普段通りにマリアさまの前通れると思ってるわけじゃないわよねぇ?」

「私のようなものにはこの歩幅で十分でございます……」

 

そんな気分なのでございます。

帰りたい、家に……いや家でなくてもいい、どこかへ。ここではないどこかへ、

何だか詩的な表現になってきました。孤独は人を詩人にするものです。

一緒にいこうと誘おうとした友達は、授業終了後瞬く間に消えていました。只者

ではありません。あの姉にして、妹あり。今日は一体何が起きてしまうのでしょ

うか。できることなら無事で、あの背の高い門をくぐりぬけたいものです。

あぁ、見えてきました放送室が。

「あら、福沢さん」

「あ、ごきげんよう」

先生の存在に今の今まで気付いていませんでした。思っていた以上に周りが見え

ていないようです。

「どこへ行くの……?ってそうか、今日がインタビューの日なのね」

「はい……」

「朝から大変だったわ、みんなテープレコーダーを持っているんですもの」

「……あとで放送部員が売り捌くって言ってましたけどね(ぼそ)」

「何か言った?」

「いえー」

笑顔のバリアというのは強力だと思う。明日は顔の筋肉がつらそうだ。

「ところで今日は誰がでてくるの?」

「えっと……」

言っていいのだろうか、一応伏せておくように頼まれているのだ。みんなも今日

は薔薇の館に待機までして、協力している。

「祐巳さん、早く!もう待ってるわよ!」

「うわぁ、はいっ」

放送室から祐巳を呼ぶ声。もう準備万端らしい。

「あら、じゃ頑張ってね」

「がんばります……」

祐巳は先生に見送られながら、背に哀愁を漂わせて放送室へと足を踏み入れた。

「祐巳さん、今日は頑張ってね!あなたがいてくれてよかったわ」

「よろしくお願いします」

何度か打ち合せに赴いた時に、顔を合わせていた人だ。この人だけは確かに祐

巳を応援してくれている。

「機材の使い方は一通り教えたと思うけど、確認しておきたいことはある?」

「たぶん、大丈夫だと思います」

何度か失敗を繰り返しつつも、決して機械には強くない祐巳は全校放送でミス

をしたらお姉さまに申し訳ないという一念で頑張った。

「じゃ、あとはよろしく!健闘を祈ってるから」

「え!?」

すでにドアノブに手をかけていた放送部員を引き止める。

「ち、ちょっと待ってください、いてくれるんじゃないんですか!?」

「んーそのつもりだったんだけどねぇ」

肩をすくめながら、答える。

「3人じゃないとリラックスして話せないっていうんだもの」

「………」

絶句。

あの人はいつだってリラックスしっぱなしじゃないか。少しくらい緊張するべき

だ。

「じゃ、そんなわけだからよろしくー」

祐巳の手を引き剥がすと、流れるような動作で放送室をでていってしまう。

「3人だけってことは隠し通そう……」

祐巳は固い決意をすると、いよいよマイクの設置された中に入る。

「ごきげんよう、よろしくお願いします」

ふたりの姉妹が満面の笑みで祐巳を迎え入れた。

「ごきげんよう」

そのきらびやかさにいつもとは違うため息をつくと、祐巳は席についた。

「では始めます」

ふたりはうなづく。祐巳はスイッチを入れた。

 

『み、みなさん、ごきげんよう!紅薔薇のつぼみの妹、1年桃組の福沢祐巳です。

本日は山百合会へのインタビューアーを努めさせて頂きます。よろしくお願いし

ます』

 

祐巳は台本をただ上から下へと読み上げる。声が明らかに震えていた。

『では、みなさんお待ちかねの方々をご紹介します』

こころなしか校舎が震えている気がする。リリアン生の鼓動が伝わってくるようだ。

『ではどうぞ』

目配せで合図を送る。

 

『ロサギガンティア、3年藤組、佐藤聖だよ。リリアンのお姫さまたち、今

日はよろしくね』

 

 

キャー

 

 

ここは防音のはずなのに、今の叫び声はなんですか?

学校がびりびりと反応している、壊れる。

 

『みなさま、ごきげんよう。白薔薇のつぼみ、1年桃組の藤堂志摩子です。不慣れ

なことですが、頑張りますのでよろしくお願いします』

 

 

キャー

 

 

もはや聞き間違え説は却下せざるをえません。

リリアンの清き乙女たちの声の前では防音など何の意味も持たないようです。この人

たちは校舎壊す気ですか?無駄なフェロモンを垂れ流さないでいただきたいですね。

 

『では、皆様から寄せられた質問をぶつけていきたいと思います』

『どきどきするねぇ、志摩子』

『そうですわね、お姉さま』

 

だから、無駄に絆とか見せなくていいですから。質問項目を祐巳は確認する。オーソ

ドックスな質問だ。




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